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肝臓疾患

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(1)C型慢性肝炎肝硬変に対する抗ウイルス療法

C型慢性肝臓病に対する抗ウイルス療法は日進月歩であり、従来難治性と言われていたセロタイプ1型C型慢性肝臓病に対しては、インターフェロン(IFN)を含んだPEGIFNα-2a/2b・リバビリン・シメプレビル3剤併用療法や、IFNを使わない飲み薬だけの24週間治療(ダクルインザ・スンベプラ併用療法)が行われ、副作用が少ない治療法で高い治癒率が得られるようになってきました。セロタイプ2型の患者さんに対しても、IFNを使わない飲み薬だけの12週間治療(ソフォスブビル・リバビリン併用療法)が2015年6月頃に保険認可され、副作用が少なくかつ100%近い治癒率が得られます。但し、セロタイプ1型ではダクルインザ・スンベプラ併用療法が効きにくい遺伝子変異したC型肝炎ウイルス変異を持っている患者さんが一部におられることが分かっていますので、岡山大学消化器内科との共同研究により、治療前にC型肝炎ウイルス遺伝子変異を測定し、個々の患者さんにあった個別化治療を実践することによって、より高い治療効果を目指しています。また2015年8月にはソフォスブビル・レディパスビルが保健認可予定です。

(2)肝細胞癌治療後抗ウイルス療法

慢性肝臓病患者さんに対する抗ウイルス療法は、肝病変の進行を抑えるとともに肝細胞癌の発生を抑制することが分かってきました。当科では肝細胞癌治療後の根治患者さんに対して、C型慢性肝臓病ではPEGIFNを含む治療や飲み薬だけの治療、B型慢性肝臓病では核酸アナログ製剤(エンテカビル、テノフォビル)の投与によって、肝細胞癌の再発が有意に抑えられ肝予備能も改善すると考えられ積極的に治療を行っている。

(3)肝硬変症患者における肝性脳症早期診断

肝性脳症は進行した肝硬変患者さんに発症する重篤な合併症です。肝性脳症を早期に診断することによって、発症前に適切な治療が可能となります。当科では潜在性脳症と呼ばれている発症前の病態を診断するためにコンピュータを用いた脳機能評価、フリッカー試験による診断を取り入れています。

(4)非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)の診断と治療

従来NAFLDは単なる脂肪肝として重篤な疾患とは考えられていませんでした。しかし、NAFLDの一部である非アルコール性脂肪肝炎(NASH)は肝硬変、肝癌と進展することが明らかとなり、近年増加傾向にあることもわかってきました。当科ではNASHを診断するために積極的に肝生検を行い、早期に治療を開始するようにしています。さらにNASHやNAFLDの内臓肥満との関連を調べるとともに、治療効果の推移を血清マーカー、腹部超音波検査による内臓脂肪の評価、Fibroscanによる肝硬度によって行っています。

(5)肝細胞癌の早期診断と肝炎ウイルス陽性者の掘り起こしの取り組み

従来、肝細胞癌の約90%はB型肝炎およびC型肝炎ウイルスが原因であり、これらのウイルス陽性者(キャリア)は肝細胞癌の高危険群であることから、定期的(危険度に応じて3か月~6か月毎)に腫瘍マーカー測定(AFP、PIVKA-II)や画像検査(腹部超音波、ダイナミックCT、EOB-MRI等)で経過観察(サーベイランス)を行うことにより、肝細胞癌の早期発見が可能であり、日本肝臓学会のガイドラインでも肝発癌高危険群に対するサーベイランスが推奨されています。当科では、肝細胞癌の高危険群であるB型とC慢性肝臓病患者さんを、サーベイランスガイドラインに沿って厳重に経過観察を行うことにより肝細胞癌の早期診断を行い、生命予後の改善に繋げるべく日々努力しています。当院だけではなく鳥取県内の主な医療機関、鳥取県健康対策協議会、鳥取県肝疾患相談センターとも協力して、肝発癌高危険群に対するサーベイランスが守られるように対策を行っています。また、B型肝炎ウイルスやC型肝炎ウイルスに感染していることを知らずいきなり肝細胞癌と診断される患者さんも多いため、米子保健所や鳥取県肝疾患相談センターとも連携して肝炎陽性患者さんの掘り起こしや市民向け講演会による啓発活動を定期的に行っています。一方、B型とC型肝炎ウイルスがともに陰性にもかかわらず肝細胞癌が発生する非B非C型の肝細胞癌が全国に増加しており、鳥取県もその例外ではありません。非B非C型の場合、肝細胞癌の発生に留意した定期的な検査が行われていることは少ないため、しばしば進行した状態で肝細胞癌が見つかります。非B非C型の肝細胞癌の原因として、アルコール、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)、過去のB型肝炎ウイルス感染、糖尿病等が推測されていますが、まだ明確となっていません。当科では、非B非C型の肝障害患者さんに対しても肝細胞癌を早期診断できるように診療を行っています。

(6)造影超音波(CEUS)、CT、MRIによる肝細胞癌診断・サーベイランス

早期の肝細胞癌発見のために最も重要な検査は画像診断です。肝細胞癌高危険群の患者さんに対する早期診断に最も効果的なスクリーニング法、効率的な質診断および治療後の経過観察のためのモニタリング法としてこれらの検査を駆使しています。

(7)肝細胞癌治療法

1.小肝細胞癌に対するラジオ波焼灼療法(RFA)


小肝細胞癌に対する治療はエタノール注入療法から、より根治性の高いラジオ波焼灼療法(RFA)へ移行しています。より効率的にRFAを行うために人工胸水下、人工腹水下あるいはCT下RFA等の工夫も行っています。また、CEUSやCT、MRI、超音波とのfusion画像を用いて、より精度の高い治療を行っています。さらに、RFAが高い根治性をもって行われたかどうかを調べるために、MRI造影剤(SPIO、EOB)を用いて評価しています。


2.進行肝細胞癌に対するリザーバーポートを用いた動注化学療法


RFAや肝動脈塞栓術(TAE)の適応とならない高度進行肝細胞癌患者さんに対して、埋め込み式のリザーバーポートを用いて各種の抗癌剤による化学療法を行っています。これにより、従来治療効果の期待できなかった患者さんに対しても、生存率の改善が得られています。今後さらに抗癌剤の組み合わせを工夫し、患者さんごとの薬剤感受性を遺伝子多型の面から検討して、テーラーメード医療を目指しています。また、新しく登場した分子標的治療薬(ソラフェニブ)も積極的に用いて新しい治療体系の確立を目指しています。

(8)慢性肝炎に対する線維化診断

慢性肝炎における線維化の診断には肝生検が推奨されていますが、肝生検は侵襲的な検査法であり繰り返し行うことは困難です。当科では以前より線維化の診断に、非侵襲的な血清マーカー(IV型コラーゲン、7Sコラーゲン、ヒアルロン酸、PIIIP等)を利用してきました。また、最近では通常の肝機能検査から線維化の程度を推定するFibroIndexを作成し、抗ウイルス治療や肝庇護療法の治療効果の経過観察に応用しています。低侵襲検査法として3種類の肝硬度測定装置(Fibroscan、Real time tissue elastography、VTQ)を用いて線維化診断、肝発癌予測への応用も行っています。



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