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消化管グループ

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消化管疾患

 平成26年度の消化器系内視鏡検査件数は5790件(上部消化管内視鏡3495件、下部消化管内視鏡検査1570件、小腸内視鏡53件(カプセル内視鏡43件)、専用機EUS415件、EUS-FNA105件、ERCP247件、腹腔鏡10件)、その中で内視鏡を用いた治療では胃ESD41件・EMR3件、食道・咽頭ESD22件・EMR5件、大腸EMR270件・ESD9件をおこなっています。
 消化管内視鏡検査では上部消化管・大腸内視鏡検査が中心となりますが、病変の的確な診断に役立つ超音波内視鏡(内視鏡的超音波下穿刺も含む)、苦痛の少ない経鼻内視鏡、ダブルバルーン式小腸内視鏡・カプセル内視鏡(平成23年5月より導入)を用いた小腸検査も行っています。消化管癌の診断・治療方針決定のために、画像強調・拡大内視鏡を用い詳細な観察を行い、診断精度が向上しています。治療内視鏡では消化器系の癌、前癌病変に対する内視鏡的粘膜切除術、アルゴンプラズマ凝固法などが行われています。早期食道癌・胃癌・大腸癌に対する新しい内視鏡的切除術である内視鏡的粘膜下組織剥離術(endoscopic submucosal dissection; ESD)も積極的に行っており、最近は耳鼻咽喉科と共同して咽頭癌に対するESDも導入しています。その他、各種の内視鏡的治療用器具を用いて、胃・食道静脈瘤、消化管出血、消化管・胆道狭窄、消化管悪性腫瘍、消化管内異物などの治療も行っています。
 また、安全面においては合併症予防のため、BISモニター、二酸化炭素送気などを用いています。さらに、検査前の血圧測定(必要時は検査中も)、検査中の酸素飽和度、脈拍をモニターし、安全・安心な検査ができるようにしています。最新の内視鏡診療機器にて質の高い診療サービスを患者様に提供できる状況となっています。


以下に鳥取大学消化管領域の特色をご説明します。

(1)内視鏡的粘膜下層剥離術 (Endoscopic submucosal dissection, ESD)

 早期の消化管癌に対して行われる内視鏡治療で、以前は胃癌を中心に行ってきましたが、最近では食道、そして大腸ESDを積極的に行っています。より高度な技能が必要とされる全層剥離も可能になっています。ただし、術後の狭窄が必発であり、計画的内視鏡下バルーン拡張術が必要です。将来的には再生医療の応用により合併症の軽減を目指しています。

*大腸ESDの実際


(2)光線力学療法 (Photodynamic Therapy, PDT)

 化学放射線療法後に再発した食道癌症例において外科手術および従来の内視鏡治療 (ESD/EMR)が困難な場合に対して新たな治療法として2015年に食道癌にPDTが保険収載となりました。当科では保険収載以降で中四国九州地方1例目の治療を行っております。

*食道癌PDTの実際


(3)炎症性腸疾患 (潰瘍性大腸炎、クローン病)について

 近年増加傾向にある、潰瘍性大腸炎、クローン病患者などの炎症性腸疾患専門外来を月曜日に行っています。また火曜日、木曜日の初診日にも消化器病専門医による診療を受けることが可能です。炎症性腸疾患患者さんにおいては軽症から重症まで幅広い患者さんを受け入れており、他院で治療困難な症例に対しても対応しています。また下記のような臨床研究を行っております。

(4)大腸カプセル内視鏡検査について

 大腸カプセル内視鏡検査は、消化管からの出血や腫瘍が疑われる患者さんに行われています。次の(1)、(2)に該当する場合、大腸カプセル内視鏡検査の保険適応となります。(1)大腸内視鏡検査が必要であり、大腸内視鏡検査を実施したが、腹腔内の癒着等により全大腸の観察ができなかった場合。(2)大腸内視鏡検査が必要であるが、腹部手術歴があり癒着が想定される場合など、大腸内視鏡検査が実施困難であると判断された場合。
 カプセル内視鏡とは、飲み込むだけで検査ができる内視鏡です。薬のカプセルよりも少し大きなカプセル内視鏡を飲んだのち、カプセルが消化管の動きによって徐々に進みながら、撮影していき、腰に取り付けたレコーダーに記録します。カプセル内視鏡は使い捨てタイプで、排便時に排出されます。上記のように大腸内視鏡検査が苦しくてできない方がよい対象となります。

(5)食道アカラシアに対するPOEMについて

 食道アカラシアとは食道の神経を異常を認め、食べ物を飲み込んでも胃に落ちず胸でつかえる、口の中への逆流する、胸痛、誤嚥性肺炎などの症状を生じる現在も原因不明の疾患です。治療法としては薬物療法、バルーン拡張術、外科手術が行われてきましたが、2008年に昭和大学江東豊洲病院の消化器センター長 井上晴洋教授が「POEM (ポエム)」と呼ばれる内視鏡治療を開発しました。POEMは従来のバルーン拡張術に比べて有効性が高く、外科手術よりも低侵襲であり、その優れた治療効果と安全性から2016年4月から保険適応となりました。当院でもこの治療法の開発者である井上晴洋先生の協力の下、山陰地方で1例目のPOEMを行っております。

クローン病患者におけるパイエル板構造解析

 クローン病患者さんのパイエル板領域を詳細に観察することで、新たな視点からクローン病の原因究明を目指しています。

*クローン病患者に対するパイエル板拡大観察および組織診断

(文責:池淵雄一郎、磯本一)




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